「演劇に関する本を読むな」
演劇を勉強し始めたころ、このようなことを講師の方に言われて驚いたことを急に思い出す。
「いろいろ知って、頭でっかちになるな」
「まずは感覚にもっと敏感になって、うそっぽいその笑いをやめろ」
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少し過激表現の講師の方も居たし、
そもそも演劇の世界自体が自分の軸をしっかり持っていないと、すぐ他者と比較しては自分の足りない箇所ばかりが目について、あまりに簡単に吹き飛ばされる。
そして、私はパニック症まで経験した。
けれど、演劇時代は本当に私の人生の掛け替えのない材料になっていて、今も尚、言われたことを思い出しては理解をまた少し深める瞬間がある。
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「【叡智・知識・愛】
この三つの関係性をもっと深く理解しなさい」
と、クリーの人に言われたのは2008年のこと。
人間には知りたい欲求というものがある。
現代はあまりに簡単に情報を入手出来て知識を得られる。
その恩恵と、そしてその反面とを、しっかり見据えて選択していく視点を常に持っていたい。
知識を叡智(身体に落とし込む)にしなかれば、知識に振り回されてやはり吹き飛ばされてしまうから。
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「何かの宗教に属していないし、祈り方なんて私はわからない」
2007年、そう言った無知な私にクリーの彼が聞いた。
「お墓に行って、キミがすることは何?」
「お花を持って行って、おじいちゃんとおばあちゃに挨拶をする」
そう答える私に彼が言う。
「それが祈りだよ。
時に宗教に属している人の方が、それを理解することが難しい時もある」
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知識と叡智と愛の関係性やバランスについての理解を、演劇時代の経験と記憶がこんなに助けてくれて、腑に落とし込まれていくなんて・・・
語り部教室をしなければ気づけなかった。
「演劇に関する本を読むな」 あの時、そうしてよかった。
今までのいろんな経験がまた繋がっていく。
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写真は…
私の演劇時代に通った今はなきスタジオ。
あまりにたくさんの感情や体験をしたこのスタジオは今は私の心の中の聖域になっている。
この時の経験も仲間も全てが今も私には宝物。
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